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さらなる分断へ突き進む米国

バイデン「ニューディール」VS白人至上主義・陰謀論

国際問題ジャーナリスト 金子 敦郎

米国はさらなる分断へと突き進んでいる。行き着く先に何があるのだろうか。怖くなるような状況が進行している。

バイデン民主党―「大型雇用創出計画」

バイデン米大統領は5月1日、就任から100日目を通過した。2兆ドル(210兆円)超の大型雇用創出計画(広義のインフラ投資)を提示、これでグローバリズムがもたらした貧富格差とコロナ禍で疲弊した米国を組み立て直そうというのだ。メディアは大恐慌さなかの1932年に登場したルーズベルト大統領が最初の100日間で「ニューディール」と呼ばれる恐慌対策を一気に推し進めた歴史を重ねて、このインフラ投資計画を「バイデン・ニューディール」と呼び、バイデン氏が第2のルーズベルトになれるのか注視している。

トランプ共和党―虚偽・差別・敵視

トランプ氏は大統領選挙の敗北を認めず、根拠なき「盗まれた選挙」を取り戻そうとした支持派勢力の議事堂占拠が失敗、世論の批判を浴びながらホワイトハウスを去った。しかし、今も自分が本当の大統領だといい続け、議事堂襲撃もいつの間にかトランプ氏追い落としの極左勢力陰謀に仕立てた。世論調査では共和党支持者の60 % がトランプ氏の言うことを信じている。民主党支持が多い非白人の少数派を差別し、敵視する発言が、党の主導権を握ったトランプ氏周辺や支持派メディアから公然と語られるようになってきた。

「バイデン転進」で党固まる

バイデン大統領は3月にはコロナ対策として、最も重い犠牲を強いられている低所得・中間所得層に焦点を合わせた1.9兆ドル(200兆円)におよぶ大型「コロナ救援策」を共和党の全面的な反対を押し切って成立させた。これに続くのがこのインフラ投資計画だ。これが議会を通過して実行されるとなれば、米国はもちろん国際経済の回復、再建に大きな影響を及ぼし、バイデンの名は歴史に残るだろう。

バイデン氏は民主党では中間派に位置し、左派は選挙戦中からバイデン氏の政策には不満があった。しかし、バイデン氏がトランプ前大統領の政策を次々に覆しながら、全ての成人へのコロナウイルスのワクチン接種を推進、さらに超大型の経済政策を打ち出したことで、民主党はバイデン支持に固まった。

世論調査はそろって、バイデン氏が60 %前後の高い支持(不支持は30~40%)を得ていることを示している。コロナ救援策では民主党支持層の95%が支持、全体では支持67%、不支持32%。共和党支持層でも55%が支持した(PEWリサーチ調査)。民主、共和両党の対立が先鋭化している状況の下では珍しい数字だ。

「大きな政府」再び

バイデン氏が大方の予想を超えて、こうした野心的な政策を打ち出している背景には、米国の貧富格差の拡大に加えてコロナ蔓延が米国社会にもたらした危機的状況がある。加えてリーマンショック直後の2009年政権についたオバマ大統領と民主党の苦い体験があった。オバマ氏は選挙で圧勝、議会両院の多数も手にしていた。しかし、共和党との協調を重視、これが金融危機対策に始まって多くの政策が中途半端な妥協を強いられる流れをつくってしまった。バイデン氏にはこの反省があると多くのメディアが指摘している。

バイデン氏は今も、コロナ救援策でも新たな投資計画でも、共和党の数少ない穏健派をホワイトハウスに招いて意見を聞いている。だが民主党の大勢は、トランプ派が主導権を握って「選挙を盗れた」「議事堂襲撃は極左の陰謀」という根拠なき虚偽主張に固執する限り、共和党との対話が実を結ぶとは考えていない。

バイデン雇用創出計画のインフラ投資には、普通言われる道路、鉄道、港湾、上下水道、電気、公共施設などだけでなく、気候変動、サプライチェーン、学校・教育、子ども政策、職業教育、AIやデジタルなど包括的な経済・社会基盤の整備、強化が盛り込まれている。財源は企業と富豪増税。経済界はもちろん増税には反対しているが、計画そのものには好意的だ。

各種の世論調査では、バイデン氏のインフラ投資計画には概ね5 対4で賛成が多く、財源を企業増税に求めるとすると、賛成が10ポイント余り増えるという数字も出ている。米紙の報道によると、トランプ減税でトップ企業の多くは税金を払わなくて済んでいるという。金持ち減税に対する憤懣がここにも伺われる。

コロナ救援対策に続くインフラ投資と、2兆ドル規模のプロジェクトが続くと、財政赤字はさらに膨らみ、インフレを招く可能性がある。バイデン政権のイエレン財務長官は、インフレの番人とされた連邦準備制度理事会(FRB)の前理事長だった。後継のパウエル理事長らFRBからも経済界からも、「バイデン・ニューディール」に対してインフレ懸念からの反対や警戒の声は出ていない。「大きな政府の時代は終わった」という時代は終わり(ニューヨ-ク・タイムズ紙クライン記者)、「大きな政府」が再び登場する時代へと移行している。

追記ーバイデン氏はさらに28日の施政方針演説に合わせて、保育から地域の職業教育大学までの教育および医療のため最高で1.8兆ドル(約196兆円)の「家庭支援計画」を発表した。これで低所得・中間所得層向け支援計画の合計は約4兆ドル(約434兆円)となる。

政策綱領なき政党

米国の主要なインフラはルーズベルト・ニューディールで構築されたものも多く残っている。老朽化が進んでいて、新規投資の必要をオバマ政権が指摘し、トランプ政権も持ち出している。しかし共和党は、あらゆる分野にわたる民主党左派(共和党は急進社会主義者とみなしている)の主要な政策をひとまとめにして、「インフラ投資」の緊急性を盾に押し通そうとしていると攻撃している。

こうした共和党定番の反対に対して、同党系の保守主義理論家でリベラリズムを批判してきたD.ブルックス氏が「バイデン計画は社会主義ではない。まさに米国を再起させるプロジェクトだ」(ニューヨーク・タイムズ紙コラム)と積極支持に回ったのが注目されている。

共和党は南北戦争の後、70年におよぶ長期繁栄をもたらした自由経済信奉の党。大恐慌に対応できず、「ニューディール」に始まる民主党の「大きな政府」の時代にとって代わられた。しかし、1980年レーガン圧勝で「小さな政府」を信条とする共和党優位の時代が再来した。経済活動はレッセフェール(自由放任)で、企業が栄えればその利益が社会全体を潤す。財政赤字や企業増税につながる社会保障は許しがたい社会主義。共和党はこれを党是にしてきた(虜にされてきた?)。だが、レーガン政権にはじまるグローバリズム40年の結果が今の米国であり、世界なのだ。

トランプ大統領は政府が小さいか、大きいかの関心はないように見えた。就任早々に強行したのが企業所得税の38%から21%への引き下げだった。企業の投資意欲を刺激して経済は発展するはずだったが、そうはならなかった。低金利政策と相まった「カネ余り」でマーケットは栄えたものの、貧富格差が拡大の一途をたどり、財政赤字が膨らんだ。「コロナ騒ぎ」は民主党の陰謀と片付けて感染防止策を怠った末、世界最悪の感染拡大に慌てて、選挙投票日が迫ると票取りを狙って大型救援策を取ろうとしたが、議会の合意が遅れて投票日に間に合わず終わった。共和党は「大きな政府」反対と言えないのがジレンマだ。共和党支持者も加わって世論の支持が高いことも反対しにくい、もう一つのジレンマ。

だが、何よりもトランプ支配の下で政策綱領を持たない珍しい政党になったことが共和党の最大の弱みになっている。「バイデン・ニューディール」に反対はしても対抗する大型政策がないのだ。

「議事進行妨害」の壁

民主党は昨秋の選挙で大統領とともに上下両院の多数を得た。しかし、下院の議席差はやっと10、上院議席は50対50の同数で議長を兼ねる副大統領の1票を加えた多数。加えて上院には「議事進行妨害」(フィリバスター)を認める独特のルールがある。重要案件を採択するには単なる多数決ではなく、3分の2/67票の賛成が必要になる。少数意見の尊重がその理念とされる。しかし民主党にとっては、1960年代の公民権(黒人差別反対)立法がこのフィリバスターで貫徹できなかった恨みの記憶が残っている。

このルールの対象になる重要案件とは予算、省庁首脳や連邦判事の承認人事などとされた。その後、両党合意で承認人事は外された。ある議題をこのルールの対象にするには、両党の主張を受けた上院事務局担当官の承認が必要になる。

コロナ救援法案は下院で共和党反対のまま民主党の多数で採択、上院では反対の共和党が60票ルールを主張した。しかし、救援策の実施は緊急性が高いとして、議事進行を急ぐために60票ルールから外して単純多数決による賛成多数で採択された。共和党は両院で全議員が反対した。60票ルールからの除外が認められるのは両党それぞれ年に1 回だけとされ、民主党はそれをコロナ救援に使った。

インフラ投資計画も60票ルールの対象とされ、共和党の反対で審議難航が必至だった。たが、民主党は同計画の実施は本年10月以降の2022年度になること、および次年度予算は2月に大統領が予算教書として議会に提出するのが通例なのに、コロナ禍によって大きく遅れていることを上げて、次年度分の1回として60票ルールから外すよう主張、押し通した。

共和党は上院審議で投資対象となる個々の計画の経済に与える効果、緊急性などについて厳しいチェックを加え、激しい論戦になるだろう。しかし「バイデン・ニューディール」全体を阻止することはできそうにない。バイデン案にとって代わる対案も出せない。共和党支持層も含めて世論の強い支持を背負っているバイデン大統領と民主党が優位に立っている。

積み重ねる「虚偽」

議事堂占拠事件はバイデン当選を最終的に確認する上下両院合同会議の議事を武装デモの圧力で開催不能に陥らせようとした点で、民主主義そのものに対する反逆行動としてトランプ大統領が議会の弾劾裁判にかけられた。下院では共和党議員10人が訴追を支持、上院評決では大統領を有罪とするのに必要な3分の2には達しなかったが、共和党議員 7人も加わって過半数の57人が有罪票を投じた。世論の強い批判に加えて、党内からの有力議員の反乱が起きたことはトランプ氏とその支持派にとっては大きな痛手となった。

下院の全議員改選、上院議員の3分の1の改選という2年ごとの議会選挙は2022年11月。その候補者を選ぶ民主、共和両党の予備選挙は実質的にすでに始まっている州もある。トランプ氏はこの選挙で議会多数派を奪還し、勢いに乗って2024年大統領選挙で再び政権を握ろうとしているようだ。そのためにトランプ派がまず取り掛かったのが、議事堂襲撃・占拠に対する世論の批判をかわすことだ。

連邦捜査局(FBI)の同事件の捜査は進んで、これまでに800人を逮捕、取り調べた結果、約380人がすでに訴追ないし訴追の方向になっている。個人的にデモに参加して巻き込まれた市民もいるが、事件の主役はトランプ氏を熱狂的に支持する極右、白人至上主義、陰謀論などの組織やグループのリーダーやメンバーで、当局は既に事件の実態をつかんだとみられている。

それでもトランプ派は、事件の真相は極左グループが挑発してトランプ勢力に罪をなすりつけた陰謀とする無理矢理の虚偽神話を支持者に広げ、トランプ氏の扇動責任追及を回避しようと懸命だ。FBI長官の出席を求めた議会聴聞会では、共和党議員が執拗に「極左陰謀説」の手がかりを引き出そうと質問を繰り返しているが、「その証拠はない」と突き放されている。

トランプ氏はツイッターから締め出されたが、トランプ支持メディアしか見ないとされる支持者の半数以上が、この新虚偽説を信じているという。だが報道によれば、議事堂事件が共和党員の間に「トランプ離れ」を引き起こし、共和党を離党して無党派ないし民主党に党籍を移す動きが続いているという。極左陰謀説にこの流れを食い止め、できれば支持者を増やす効果がどれ程あるのだろうか。

「投票妨害」に経済界が反対

昨秋の米大統領・議会選挙では、黒人やヒスパニック(中南米系)などの少数派の歴史的な高投票率が民主党に勝利をもたらしたとされている。トランプ派は次の選挙で勝つためにはこうした少数派の票を民主党から取り上げるしかないと考えたようだ。これが(根拠なき)「不正投票」を再び許さないという大義名分を掲げて進められている投票関連州法の改定キャンペーンである。

投票率を高める効果があったとされる期日前投票(郵便投票)の規制強化を柱に、投票時間や期間の短縮、写真付き身分証提示の義務化、投票函設置数の大幅削減など、様々な投票条件を厳格化する。白人と比べて所得、居住、勤務などの生活条件で劣る黒人などの少数派には、全て投票がしにくくなるものばかりだ。ところが昨秋選挙で民主党が僅差で制したジョージア州で思わぬ反発を受けた。

同州の改定法は郵便投票の投票函の設置個所を「ほとんどゼロに近い」と報じられるほど最大限に削減した。黒人が多数住む地域では投票所に加えて設置される投票函の場所が元々制限されて、黒人有権者にとっては交通の便の悪い投票所へ出向き、順番を待つ長蛇の列ができるのが常だった。投票函が減らされたので行列もそれだけ長くなる。それを見越して、延々と順番を待つ人に水や食べ物を提供することを「違法な投票勧誘につながる」として禁止した。黒人有権者の投票妨害を目的にしていることがあからさまで、人道問題にもなりそうな話である。

これが格好の「話題」としてメディアで大きく取り上げられた。バイデン大統領が「21世紀のジム・クロウ法」(南北戦争後の南部で解放奴隷の投票を抑圧した様々な州法)と激しく非難、ジョージア州都アトランタに本社を置く大手企業のコカ・コーラやデルタ航空をはじめ70社を超える地元企業がこの州法改定に反対する声明に加わった。多くの黒人スター選手をもつ米大リーグ野球機構も抗議の意思表示として、アトランタで開催予定の夏のオールスター戦を取りやめて他州に移すことを決めた(これに一番がっかりしたのは黒人のフアンだったそうだ)。

この動きはたちまち全米に広がり、1 週間のうちにアマゾン、ウォルマート、エステローダーなど各業種のトップ企業を含めて数百の企業が反対を声明、有力な弁護士団体やメディア人など企業を超えた分野からも批判が突き付けられた。

報道によれば、この背後にはジョージア州の民主党組織、人種差別反対や市民運動の活動家たちの働きかけがあった。投票妨害法に反対しないなら不買運動をおこすといった圧力もあったようだ。しかし、企業にとっては白人も、黒人やヒスパニック、あるいはアジア系も、みんな同じ顧客である。その一部だけが投票権行使を妨害されることに反対の声を上げるのはおかしなことではない。

「知らないことに口出すな」

トランプ氏と共和党幹部はこれに怒り、トランプ氏は共和党員にむけて「反撃しろ」と号令をかけた。ジョージア州議会はデルタ航空に与えてきた免税などの優遇措置を取り上げることを決めた。大リーグ機構に対しては「独占禁止法」違反で訴えられないか検討中と報じられている。

共和党議会のトップ、マコネル上院院内総務は、米議事堂襲撃事件を扇動したとトランプ大統領を真正面から批判、トランプ氏の激しい攻撃にさらされていた。それを少しでもかわしたいと思ったのだろうか。反対の声を上げた企業を「何も知らない政治に口を出すな」と非難したうえ、「重大な結果」を招くと脅しをかけた。これにはすぐ政治献金はもらいっぱなしかと反発が返ってきて、政治献金を出している企業に対して言ったのではないと、大慌ての弁解に追われた。

議事堂襲撃事件は企業にも大きな衝撃を与え、主要企業の多くが共和党への政治献金を停止ないし凍結した。最近になって献金再開の動きも出かかっていたが、これで先送りになったようだ。

追い詰められた孤立感

ワシントン・ポスト紙電子版やニューヨーク・タイムズ紙国際版など米メディアの最近の報道からは、共和党には「バイデン・ニューディール」の成立を許すと党は壊滅的打撃を受けるとの危機感が高まっていることが伺える。追いつめられた共和党はさらに急進化して、攻撃性を強めていく。

「投票権」を侵害するのは平等な1人1票という民主主義の原則に反すると批判を受けたトランプ側近の上院議員は「1 票の質」が問題なのだと言い放った。この種の発言が共和党議員やトランプ支持派のテレビやラジオから流されることは珍しくなくなった。

白人警察官の過剰な取り締りで黒人が命を奪われる事件が続発することに抗議するデモから昨年生まれたBLM(黒人の命は大切)運動。共和党はBLMをテロ組織扱いにして、「投票妨害」キャンペーンと並行してその取り締まりを強化する法律制定あるいは法改定を各州で進めている。

このBLM結成の直接のきっかけとなった事件で、フロイド氏の首を10 分近くも膝頭で押さえつけて死亡させた警官が4月20日有罪評決を受けた。同様事件で警官が有罪になるのは珍しく、遺族や友人、支援グループは喜びに沸いた。陰謀論者でトランプ側近とされるグリーン下院議員とトランプ支持のFOXニュースの看板キャスター、カ―ルソン氏は同じように、有罪評決がBLM運動を勢いづかせ取り締まりが難しくなることが心配と、まったく逆の立場からコメントした。

カールソン氏は自分のニュース番組の中で、民主党は第3世界から移民をどんどん受け入れて白人支配を(有色人種で)取り替えようとしていると非難した。欧州では極右あるいは白人至上主義者が同じように、イスラム教徒が白人支配を取り替えようとしているとみる。この「取り替え」(英語ではreplacement)が白人至上主義運動の基本理論になっている。米国でこの言葉はこれまで公然と使うことは控えられていたと思う。

グリーン議員は「アメリカ第一会議」を名乗る組織つくりを進めていて、その綱領案が一部メディアに報じられた。それによると、同会議の目的は米国におけるアングロ・サクソン(米国開拓にたずさわった英国系アメリカ人)の文化を守ることにある。これが排他主義、人種差別主義との批判を引き起こして、グリーン氏は事務担当の原案段階で自分は知らなかったと逃げている。

行きつく先は「分離?」

共和党はレーガン政権登場で息を吹き返して保守勢力を再興し、リベラル派が主導する民主党と互角の政権争いを続けてきた。それを後押ししたのが保守派ラジオ局の参入、それに続くオーストラリアの保守派新聞王マードック氏のテレビニュース専門局、FOXニュースの米国上陸だった。それまで米国のメディアはリベラル系が支配的だった。そのラジオ局で徹底的な共和党支持、民主党攻撃のコメンテーターとして人気を集めたR.リンボウ氏が2月に70歳で亡くなった。

ニューヨーク・タイムズ紙の4月21日国際版は、米国の行方について次のような注目すべき記事を掲載している。「リンボウ氏が昨年12 月、共和党は民主党との平和的共存はできないとして分離に向かっていると思うと語った。最近の世論調査では、この両者の分離には共和党員の3 分の1、民主党員の5分の 1が賛成した」。

「バイデン・ニューディール」をめぐる民主党とトランプ共和党のせめぎ合いがどんな決着を見るかにかかわらず、20~30年のうちに米国の白人人口は過半数を割り込むことになる。白人と黒人奴隷の国として独立した米国は、多彩な民族を移民としを受け入れて「人種のるつぼ」になり、さらに多元的な「サラダボウル」へ発展してきた。次は「分離国家」?その国家像は今は誰も想像できないのではないだろうか。(4月26日記)

かねこ・あつお

東京大学文学部卒。共同通信サイゴン支局長、ワシントン支局長、国際局長、常務理事歴任。大阪国際大学教授・学長を務める。専攻は米国外交、国際関係論、メディア論。著書に『国際報道最前線』(リベルタ出版)、『世界を不幸にする原爆カード』(明石書店)、『核と反核の70年―恐怖と幻影のゲームの終焉』(リベルタ出版、2015.8)など。現在、カンボジア教育支援基金会長。

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