資料

HPVワクチン(子宮頸がんワクチン)接種は愚行
である

10月1日の厚労省の積極勧奨再開決定への抗議声明

HPVワクチン接種被害者を支援する会

 

1.積極勧奨の中断はこのワクチンが危険と判断したから

10月1日、厚生労働省の副反応検討部会は、子宮頸がんなどヒトパピローマウィルス(HPV)感染症を防ぐとされるワクチン(通称「子宮頸がんワクチン」、以下ではHPVワクチン)について、2013年6月からこれまで続けてきた接種の積極勧奨の中断を解除し、積極勧奨を再開する方向性を打ち出しました。

同ワクチンは2013年4月に定期接種化し、12歳から16歳の全女性に無償で接種される体制となりました。しかし、重篤副反応の多発を重く見た厚労省健康局長(矢島鉄也医師)によって6月に接種は中断されました。医学的に危険と判断したからと言われています。ですが、厚労省は「定期接種」は維持した「積極勧奨の中断」という曖昧な形を選び、それが今に至るまで続いてきました。

同ワクチンの接種被害者は、これまでに国内でわかっているだけで3000人以上います。被害者には全身の痛み、不随意運動、生理の異常、光が眩しい等の感覚過敏、記憶障害や認知症などの高次脳機能障害の症状が重層的に現れています。心理的要因では到底説明がつかない症状ですが、被害者は症状を訴えても詐病扱いされがちです。

他方、2014年6月、痛みの専門家の集まりである日本線維筋痛症学会(会長:西岡久寿樹)は、同ワクチンを接種した女性たちの多様な症状を「HPVワクチン関連神経免疫異常症候群(HANS)」と命名しました。心ある医師の下では重篤副反応被害者に見られる免疫学的神経障害の懸命の治療が続けられています。

2013年には全国子宮頸がんワクチン接種被害者連絡会(代表:池田としえ)が組織され、現在その会員は600人を超えています。2016年には国と製薬会社を相手取った訴訟も全国五か所で同時に開始され、現在も裁判は続けられています。国の用意した救済制度を使って申請をしても中々認定されず、治療費の自己負担分(ある事例では年間200万円)が増えて経済的に追い詰められる被害者家族も出ています。

2.強力なアジュバント(免疫増強物質)の成分が疑われる

HPVワクチンは、英国グラクソ・スミスクライン社の2価型商品(既に200種以上発見されているHPVのうち子宮頸がんの原因として多いとされる16、18型という二つに対応)であるサーバリックスが2009年10月に、米国MSD社の4価型商品 (16、18型に尖圭コンジローマ(性器にいぼができる病気)の原因とされる6、11型を追加) であるガーダシルが2011年7月に承認されました。これまでに国内で338万人余に接種されています。

ワクチン接種には一定数の副反応が常に伴いますが、サーバリックス、ガーダシルは重篤副反応の発生率が、他と比べて突出して高いのです(図1参照)。ワクチンの成分の何がどんな形で視床下部に悪影響を与えるかに関わる医学的基礎研究も進められています。医薬ビジランスセンター代表の浜六郎医師は、自然免疫を攪乱して高い抗体価を長期間維持するという、従来のワクチンとは異なるHPVワクチンの設計とそれゆえに添加物として使わざるを得ない強力なアジュバント(免疫増強物質)の成分を疑っています。

HPVワクチンは、性行為などでできた子宮頸部の小さな傷口からのウィルス侵入をブロックすべく十分な抗体が常に浸み出すようにしておく設計です。そのために高濃度の抗体を血中に作り出さねばなりません。ヒトの免疫機能を呼び起こすアジュバントには原理的に毒性がなければならず、それはヒトに害を及ぼします。入ってきた異物を排除しようと免疫が過剰に働くので自己免疫疾患が誘発されやすくなります。サーバリックス、ガーダシルは共にアルミニウム化合物を含む強力なアジュバントを使っています。

英国で湾岸戦争時に出征前に多数のワクチンを打った兵士たちに「アジュバント誘発自己免疫疾患(ASIA)」が起きたのですが、HPVワクチン接種被害者の症状はそれとよく似ているのです(浜六郎「アジュバントの正体とHPVワクチンを徹底解剖する」『薬のチェックは命のチェック』第53号(2014年12月)、47-67頁、同誌51、52、54号にも関連記事掲載)。泌尿器科医でHPVに詳しい北村唯一医師(東京大学名誉教授、性の健康医学財団理事長)など浜医師の主張を支持する医師は少なくありません。

2020年4月には新たなHPVワクチンであるシルガード9が厚労省によって認可されました。これはガーダシルの後継商品であり、対応するHPVの型数を増やしたものですが、やはり強力なアジュバントを使っており、接種すれば、サーバリックス、ガーダシルと同様、被害が出ることは明らかです。認可に強く抗議する立場から、HPVワクチン薬害訴訟全国原告団(代表・酒井七海)と、HPVワクチン薬害訴訟全国弁護団(共同代表:水口眞寿美、山西美明)は、同年4月15日に「9価HPVワクチン(シルガード9)の承認審査に関する意見書」を当時の厚労大臣・加藤勝信宛に提出しています。

そもそもこのワクチンが医学的に考えて本当に必要なのかとの重大な疑義もあります。子宮頸がんは、検診によって早期発見がなされれば十分対処できる病ですし、ワクチンを打っても予防効果は、ワクチンを推進する人たちも認めるように万全ではなく検診は必要です。子宮頸がん予防には未だに低い日本の検診率を高めることこそが有効なのです。

3.なぜ、このタイミングでの積極勧奨再開なのか――“在庫処分”のために少女たちの健康と未来が差し出される

8月30日「HPVワクチンの積極勧奨再開をめざす議員連盟」が、ガーダシルの製造販売元のMSD社の意を受けて「子宮頸がんワクチンの積極的接種勧奨を再開しないと、ワクチンが期限切れになり、大量廃棄することになってしまいメーカーに迷惑をかける。早く接種を再開すべきだ」という趣旨の、常識ではありえない要望書を田村厚労大臣らに提出しました。MSD社はさらに「今後の医薬品の供給にも影響が出ますよ」と伝えました。同社は政府に圧力をかけたのです。

10月1日、大熊由紀子・国際医療福祉大学教授は、大量同時送信メールで「“在庫処分”のために少女たちの健康と未来が差し出されるかどうか――子宮頸がんワクチンについてきょう午後1時から検討会」という問題の本質を突くタイトルの速報を流しました。

そこには「田村さんは、第2次安倍内閣で2012年12月から2014年9月まで厚労大臣を務め2013年6月に積極的勧奨の中止を決断した時の大臣。巨大ワクチンメーカーの圧力に負けず、国民の健康を重視する決断ができた政治家と高く評価されていました。2013年以後、この『ワクチン』の危険性と効果の曖昧さがますますはっきりしてきた今、議連の言いなりになれば<国民の健康のために果敢な決断ができた大臣>から<営利企業の在庫処分のために国民の健康と多額の税金を差し出した大臣>に評価を変えて歴史に名を残すことになるかも」とあります。

コロナ禍でワクチン待望の世論が強まり、多くの人はワクチン接種をよきものと漠然と信じています。他ワクチンとHPVワクチンの作用機序の違いにはまず関心を払いません。そして10月1日とは岸田内閣が組閣され、厚労大臣交代の時期でした。このタイミングで積極勧奨の再開という方向性を厚労省は打ち出したのです。これは極めて政治的な決定と推察できます。

4.HPVワクチン接種の再開は愚行というしかない――スウェーデンの疫学調査データの杜撰な結論など

2日の各紙朝刊は前日の動きを伝えています。毎日新聞には「弁護団共同代表の水口眞寿美弁護士は「厚労省が用意した都合のいい偏ったデータを使っている。治療法もない中で、治療や救済体制が全く機能していない」と批判した」とあります。

図1 ワクチン別重篤副反応出現率(横軸は100万人あたりの出現数)

ワクチン別重篤副反応出現率

「ヒトパピローマウィルス(HPV)ワクチン接種推進に向けた関連学術団体の見解」に対する意見書より引用 。

「都合のいい偏った治験データ」の一つは、スウェーデンの疫学調査結果のことです。接種グループの方が未接種グループよりも子宮頸がんが少ない、だからワクチンは有効だと副反応部会は主張しました。ですが、科学的に検証するとこの主張はおかしいとわかります。母集団の特性が異なるのです。接種グループは10代が著しく多く、未接種グループは20代、30代が殆どです。10代では子宮頸がんになる人は殆どいません。こうした統計の初歩的な点に留意せず、杜撰な主張をしているのです。

2013年6月以降、外来患者にHANSの症状が激減しているとの指摘も現場から出されています(元横浜市立大学教授・横田俊平医師)。まさしく同ワクチン接種とHANSとの関係性が示唆されます。

以上から考えて、せっかく中断されてきたこの危険なワクチンの接種再開は愚行と言わざるを得ません。このワクチンの接種そのものが愚行とも言えます。もし接種を再開すれば、新たな被害者が出ることは明白です。我々はこの動きに強く抗議するものです。

 

◇お知らせ――米国で出版された『子宮頸がんワクチン問題――社会・法・科学』(メアリー・ホーランドら著/別府宏圀監訳/2021.8/5500円)がみすず書房から刊行されました。少し高価な本ですが関心ある方は是非お読みください

 

第27号 記事一覧

ページの
トップへ