論壇
子ども食堂にかかわって
元小学校教員 石川 愛子
子ども食堂のボランティアをやるようになったのはコロナの頃からなので、5年位前からです。その当時は、子ども食堂、フードパントリー、フードバンクの違いもわかっていませんでしたが、困っている子どもの役に立てるならと、手伝いを始めました。
私は、さいたま市在住で、いま自宅に近い2つの子ども食堂にかかわっています。
子ども食堂
子ども食堂とは、子どもに食を提供し、居場所の役割を果たすところ、希望する子どもならだれでも予約して参加できます。付き添いの大人や老人も予約することはできます(費用は300円程度負担する)。その子ども食堂の規模(広さ、人員)によって、可能人数は変わってきます。コロナ時は、接触が不可だったので、お弁当をもらって帰るというふうにやっていましたが、いまは、午前10時位から、午後4時位まで居場所としてやっています。私は、昼食作りのボランティアに参加しているだけですが、そこでは午前や午後、自由遊びや、歌ったり、ものづくりをしたり、さまざまなワークショップなども提供し、そのための指導者をその都度呼んだり、イベントの企画などオーナーは、いろいろ工夫されています。月1回ずつの開催なので、なかなか居場所というところまではいっていないようです。
私のかかわっている「A子ども食堂」は、一般の食堂もやっていて、その休みの日に開催しています。児童養護施設退所後の若者(18歳~)や、老人も参加するので、「A地域食堂」というようになりました。子どもが遊びまわるには、少し狭いといったことがありますが、固定的な場があることで、八百屋さんが野菜を届けてくれたり、そのほか食品関係の会社や、工場などから食材の提供が予想外に多く、冷蔵庫や冷凍庫も含む食材置き場があるというのは強みで、食材に困ることもなく提供できているようです。オーナーが新聞やタウン誌などへのアッピールも上手で、銀行振込口座ものせると、結構寄付が集まるということで、運営の費用には困ることもないようです。名前だけで、お礼状も出せないのに送金してくださる方も結構いるそうで、また、毎月年金から1万円を届けにきてくださる方、ランドセルを届けてくださる方もいて、日本人が子どもに優しいことも実感させられています。食事もビュッフェ方式でたっぷり提供できているようです。
もう1つの「B子ども食堂」は公民館を借りて、やはり月1回、開催しています。広さはあって、子どもが走り回って遊ぶこともできるのですが、食品の保存などはできません。となると、乾物しかもらえませんし、今のところ口座もないのか、寄付もあまりないようです。一般にも言われているように、このところの物価の値上がりは、食事の内容を直撃します。昼食の片づけを終えて、次回のメニューを相談して決めるのですが、「里芋も高いからねえ」「今年の12月は安いケーキも無理ですね、デザートは、〇〇円に抑えないと」「お米はいただいたものがあるので、お米を使った料理で」「お肉の代わりに缶詰使ってみようか」「毎月5000円カンパしてくださっていた方も高齢で亡くなって…」とそんな会話が飛び交って、厳しい現実を実感させられています。安くて子どもが喜ぶものをと、シニアのボランティアが知恵を絞っていますが、メニューも限定されてきます。
市からの補助金も査定が厳しく書類がたいへんなわりに十分とは言えないものです。昨年の4月には、各子ども食堂に農林水産省から備蓄米60㎏が交付されたということです。
地域の連携もないわけではなく、「A地域食堂」は「B子ども食堂」に分けてあげようとしても、保存する場所、冷蔵庫・冷凍庫がないのです。そんな状態で運営は大変かと思いますが、オーナーもボランティアも子どもたちやお母さんたちの笑顔に励まされて続けています。
フードパントリー
子ども食堂は、希望する子は誰でも参加できるのに対して、フードパントリーを利用できる人は限定されています。食品支援が必要な人(ひとり親世帯、生活困窮者、障がい児のいる世帯)などに食品を提供するところで、これに該当して支援を受けられるかどうかは、各市町村の認定が必要です。
フードパントリーは、さまざまな食品関係店・会社・工場の賞味期限の間近かな食品を廃棄前に引き取り、それをひとり親世帯などに配るというものです。
「A地域食堂」は、フードパントリーもやっていて、コロナ下に始めた時には、14世帯だったのが、いまは45世帯にもなっているとのことです。これも食堂お休みの日、月一度の開催で、昼から午後7時位まで配布します。ボランティアは午前からの袋詰めや陳列などの準備や配布を手伝っていますが、私は、夕方4時頃から7時の終わりまでの配布や後片付けを手伝っています。配布されるのは、一番喜ばれるお米はもちろん、乾麵やインスタント食品、調味料や飲み物、野菜や冷凍食品やお菓子類までその都度いただいたもの様々で、私なぞ、初めて見るレトルト食品なども多いのです。
お仕事されてるお母さんが、昼休みか仕事帰りに見えるので、長時間開いているのは、助かることでしょう。車庫で開いているフードパントリーなどもあるそうで、日中2、3時間だけといったところも少なくないそうです。
食品を自転車の前後の籠いっぱいに積んで、「いつも助かります」と喜んで帰られるお母さん方のことばにこちらが励まされています。
フードバンク・フードドライブ
これも最近よく聞く言葉ですが、「もったいない精神」で廃棄食品を減らし、生かすため食品を回収すること、そしてそれを、福祉施設や子ども食堂などに回す活動のことです。
近くの公的場所やスーパーなどにも、ボックスが常設されるようになりました。
「A地域食堂」のフードパントリーにも、郵便局などのフードバンクからも品物が届けられます。会社などから届くもののように数がたくさんあるものではないので、「この箱の中から2つ選んでください」という形で、お母さん方に配布しています。
昨年末は、Cスーパーマーケットからクリスマスのホールケーキ50箱が、ちょうどフードパントリーの日25日に届き、驚きました。「うわー、これでうちにもクリスマスが来る‼」と大喜びのお母さんの顔を見てこちらまで嬉しくなります。それどころか、たくさんいただいたときは、保存できないものなので、ボランティアの私たちまでいただいて、今年は高いのであきらめようと思っていたケーキにありついてしまいました。
新春にも7日でしたが、何とDコンビニから立派なおせちセットが60箱も届いたそうで、そういうときは、登録されてるお母さんにラインで知らせ、取りに来てもらったようです。7000円もするものだそうで、お母さん方、子どもさんたちさぞや喜ばれたことでしょう。とはいえ、こんな「ラッキー!」なんてことで話を終わらせるわけにはいきません。
この物価値上がり激しい中で、「B子ども食堂」の厳しい経済状況のほうが、一般的と思われるし、安泰に思える「A地域食堂」にしても、オーナーは後期高齢者だし、肝心の食堂も借家でいつまでつづけられるか、先行き不安です。
子どもの居場所があるにこしたことはないのですが、場所も、運営もが個人の善意に頼られていて、いつ閉鎖ということになってしまうか、不安定な状態に置かれています。子ども食堂にももっと食費支援金も、居場所支援金も必要です。軍事費ばかりが拡大していますが、子ども子育て支援にお金を回してほしいと切に思います。
いしかわ・あいこ
1948年、福島県西会津町出身。東邦大学理学部卒業。さいたま市立小学校に定年まで勤務。市民運動「障害者の教育権を実現する会」『人権と教育』編集部。「ちきゅう座」事務局。子ども食堂に参加。
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