コラム/ある視角

ある幼稚園の園長だより「うふふのふ」(その4)

 

本誌編集委員 池田 祥子

現代の理論第40号と第41号、および第45号において、すでに丹野禧子さんの「うふふのふ」(園長だより)から、いくつかを「抜き書き」しつつ紹介させていただいた。

すでに記したことだが、千葉市で幼稚園園長を務めて来られた丹野禧子さん、2026年3月をもって、「園長職」はもちろん、半世紀以上にわたる(57年にわたる)「幼稚園勤務」自体に幕を下ろされた。本人にとっては言うまでもないことだが、彼女と千葉の保育者養成短大で同じ研究室だった私自身にとっても、「寂しい」こと、この上ない。

私と違って、背筋もシャンとして、歩くこと、走ることにも何の不自由もなく、元気な丹野禧子さん。きっと「今も、どこかに、居られるだろう、自由な園長先生」の下で、「嘱託」でも「役ナシ?」でも、これからも子どもたちと関わってほしいと・・私は一人で、本気で願っている。

「超高齢化社会」で、本当に「元気」な高齢者は、80歳、90歳・・・でも、「現場」で働く・・・ということが、「あり得る」ことになってもおかしくはないだろう。

それはさておき、最後の「うふふのふ」の、残ってしまった後半部分からも、子どもたちの様子、園長先生と子どもたちの関り・姿だけでも、紹介しておきたいと思う。

今では、中・高・大だけではなく、小学校においても、子どもたちはすでにさまざまに傷つけ合い、「不登校」という社会現象は珍しくもなく一般化している。しかし、それらは、子どもたち自身の問題というよりも、やはり「制度として営まれる」学校という「社会的装置」そのものの問題であることが、この「うふふのふ」で描かれる子どもたち自身の姿からも逆に検証されるように思われる。

 

わたし、すごーいよ

年少組のRちゃんが、「せんせい、せんせい、わたし、スゴーイよ」と話してくれました。「スゴーイ」の中身は何でしょう。
 「あのね、お姉ちゃん、熱、出したの、カゼ引いた。それをね、お父さんがうつっちゃって、お父さんもカゼひいた」。
 「あら、それは大変だったわね」
 「あのね、それだけじゃないの、お母さんにもうつって、お母さんもカゼひいた。」
 「ワー、4人家族のうち、3人風邪引きだったの。ところでRちゃんは?」
 「ダイジョウブ、おネツもないし、ノドも痛くない。わたしだけカゼひかなかった。強いねーっていわれたよ!」
  毎日、よく食べ、よく遊び、よく喋って・・・風邪菌もどっかへ行っちゃったね、Rちゃん。
  インフルエンザも園では下火になった様子ですが、手洗い、うがい、室内の換気、休養などを予後としてお続けください。(2025.11.7)

アー‼ サムソウ

植木屋さんが園庭の木を剪定して枝がサッパリ。すると枝をみて、自分の頭をさすりながら、「アーサムソウ」と年中のJくん。さっぱり、というよりは、確かに今の気温から考えると、「サムソウ」です!(2025.11.25)

なかよしこよし で

ちゅりっぷ組さんのお帰りの時間。身支度をして部屋からベランダに出てきたAくん、Bくん、Cくん、Dちゃん。
 「♪きょうもたのしくすみました♪ なかよしこよしでかえりましょ♪」
 そして「変歌」・・・「きょうもたのしくあそびましょ!なかよしこよしであそびましょ。みなさんさよなら、あそびましょ!」
 歌詞を変えていろいろなバリエーションで歌っています。だけど変わらない言葉、「なかよしこよしで」の所は必ず入っているのです。
 「なかよしこよしでうたいましょ‼」
 「♪きょうもなかよくあそんだよ、なかよしこよしであそんだよ。みなさんサヨナラ、なかよしこよし」?・・・まあ次々新しいのが出るは出るは。4人で楽しそうに笑いながら歌っています。
 どうも「なかよしこよし」に反応しているらしい。「なかよしこよし」が呼び水らしい。
 バスの先生から「集まりますよ~~」と言われるまで、「ずーっと、ずーっと」歌い続けていました。
 「なかよし、こよし」今の自分たちがお友達と「なかよしこよしで」遊ぶ楽しさを日々感じているからでしょうね。
 可愛らしい歌声と、楽しそうな姿に思わず、私も楽しくニコニコでした。(2025.⒓.1.)

道具は揃いました‼

ヘッツイ、ウス、キネ、カマ、ザル、セイロ、バット等々、餅つきの道具一式、お蔵からお出まし~~‼
 昨年度の一番人気の味付けは・・・ジャ ジャ ジャ~~ン‼
 「なっとう‼」なのです!
 意外や意外・・・人気のなかったのが「あんこ」・・・「なんだ、チョコレートじゃないんだ‼」とは、子どもからの一言!・・・今どきの子の甘味はチョコレートなんだと認識した次第です。今日は、お米とぎ!・・・なにはともあれ、年末の「もちつき」で、楽しくしめくくりましょう‼(2025.⒓.⒖)

2026(令和8)年は特別な「午年」‼

1月から1年間の「午年」しかも今年の午年は、60年に一度の「丙午」(ひのえうま)。
 「丙」の意味は「陽の火」、そして「午」もまた「火」。
 丙午の中でも、「馬」は前向きなエネルギー。成功、繫栄のシンボルとして、日本人に長く親しまれてきました。
 丙午にあたるこの年は情熱や変化を象徴することとされ、「飛躍」「前進」の象徴として、力強く駆け抜ける馬のごとく、成長や成功を願うのに最適な年と云われています。
 江戸時代に、八百屋お七の話から(大火があったため)いろいろと言われる様になりましたが、根拠のない迷信です。(2025.12.24)

今日は七草がゆの日です。

「七草がゆ」食べましたか?
 青菜の入った塩味のさっぱりおかゆ。お正月から美味しいものいっぱい食べて、胃が疲れた所に、ビタミンいっぱいのおかゆ。昔の人は、経験からでしょうが、理にかなっていますね。
 ♪ 七草 なづな ♪ 唐土(とうど)の鳥が渡らぬうちに ♪ 
 トントントンと、歌いながら青菜を包丁でたたきながら切ったのを思い出しました。・・・わたしは、七つの草が揃わなくとも、小松菜や京菜、ダイコンの葉、カブの葉など、野菜カゴにあるもので間に合わせてつくりました。「こら胃袋!もうお正月はオシマイ!」とも言っておきました。(2026.1.7)

サンタクロースは何どし生まれ?

年少組のHくん、「サンタクロースは午年??かな~?」
 「だって、クリスマスの次に、午年のお正月がきたから・・・」
 「う~ん、サンタクロースって、何どしだろうね・・・」
 皆さんはどう思いますか・・・?(2026.1.15)

「1番」で登園したのにね・・・

車で登園・・・1番早いくらいに登園してきた年長のKくん。(それなのに)園に入らずずーとずーとだれかを待っている。KくんのところにLくん、Nくん。3人は楽しそうに何か話しているけど、どの子もどの子も園内に入っていかない。
 「だれ、待ってるの?」「Oちゃん!」
 Oちゃんは登園は、ずっとあとの方なのに・・・。「うん、そうだよ、Oちゃん!」
 9時近くなって、Oちゃんを乗せた自転車登場です!KくんからNくんまで揃ってお出迎え。「おはよう‼」普通に「ツンデレラ」風にごあいさつ。
 その後、ニコッと笑ったOちゃんの笑顔、可愛い‼
 Kくんから、Lくん、Nくん、Mちゃん・・・それにOくんまで入れて5人。ニコニコと(ようやく!)門の中に入っていきました。「ツンデレラ」に引かれるのは、子どもも大人も同じなのかしら・・・???(2026.1.16)

イヤナノ、ワーン・・・

園庭から、すごい泣き声!・・・年長組さんのドッジボールの所から・・・
 Lちゃんは、ボールを当てられるのがキライ。当てられたらすぐに大声で泣く。
 でも、ドッジボールはボールを当てたり当てられたりしないとおもしろくない。Lちゃんは、それは分かっているんだけれど、当たったらすぐ泣く。でも、遊びは止めないLちゃん。早く、相手のボールが取れるようになるといいね。「ガンバレ、ガンバレLちゃん‼」(2026.1.23)

「さよなら」のうたは、こどものうた、なの

♪ きょうも たのしく すみました
   なかよしこよしで かえりましょ
   せんせい さよなら またまたあした ♪
 窓の下から可愛い子どもの歌声。私は幼稚園に新卒でいた50年以上前も、この曲を1日のシメで歌っていました。
 ピアノを弾きながら歌う練習を、一生懸命したなーと思い出します。
 思わず、子どもの声に合わせて歌ったら、「さよならのうたは こどものうたなの うたわないで~」と一言。「すみません。だって、なつかしいんだもん・・・」年少さんも、自分の気持ちをハッキリ言うようになりました。(2026.1.29)

いろいろな言葉 使うのね‼

ご用があって、今日は昼食前のお帰りになった年中組のOくん。
 「あれ?荷物はそれだけでいいの?」
 「うん、とりあえず・・・これで、いい」と、本人は言っていましたが、リュックも着替えの袋もきちんと持っていました。
 「とりあえず・・・」なんていう大人の言葉をよく聞いて覚えたのね。
 なんだか、顔が大人に見えました。
 将来、どこかで「とりあえずビールね‼」なんて言ってたりして・・・。(2026.2.2)

 

以上です。

(丹野禧子さん、幼稚園勤務も「園長職」も「定年」になりましたが、きっとボランティアで、今も「こどもたち」となんやかんや・・・関わっているような気がします。)

いけだ・さちこ

1943年、北九州小倉生まれ。お茶の水女子大学から東京大学大学院教育学研究科博士課程修了。元こども教育宝仙大学学長。本誌編集委員。主要なテーマは保育・教育制度論、家族論。著書『〈女〉〈母〉それぞれの神話』(明石書店)、共著『働く/働かない/フェミニズム』(小倉利丸・大橋由香子編、青弓社)、編著『「生理」――性差を考える』(ロゴス社)、『歌集 三匹の羊』(稲妻社)、『歌集 続三匹の羊』(現代短歌社、2015年10月)など。

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